この「2分」という統計値を聞いた時には驚いたが,大きな大学の神経学部門のトップとして多くの大学院生とポスドクを抱える自分の経験に照らしてみると,たしかにその通りだと思えた。おそらくどこの職場でも,同僚やスタッフとの打ち合わせのための「リハーサル」や計画に,多くの時間が費やされることはないだろう。しかし,そのような個人どうしの直接的な関わりは,組織を成功に導く上で重要なはたらきをするはずだ。また,これらの打ち合わせで与えた印象が,あなたのキャリアの方向を決めることだってある。だからこそ,ごく個人的な打ち合わせであっても,事前に計画すること,少なくとも,たった数分ではなくもっと時間をかけて計画し,相手の反応を予測することが重要なのだ。
心の中で,言いたいことを想定し,相手の反応も予測しておく。今のあなたにとって,その相手は10代の息子や娘だ。肯定的な反応と,否定的な反応の両方を予測し,それぞれのケースで,次に何を言うかを決めておくのだ。あなたがイライラしているように見えたり,頭が混乱しているように見えたりしたら,相手はあなたを信頼しないだろう。同僚や従業員であれ,10代の息子や娘であれ,それは同じだ。
フランシス・ジェンセン エイミー・エリス・ナット 渡辺久子(訳) (2015). 10代の脳:反抗期と思春期の子どもにどう対処するか 文藝春秋 pp. 19-20
(Jensen, F. E. & Nutt, A. E. (2015). The teenage brain: A neuroscientist’s survival guide to raising adolescents and young adults. New York: Harper.)
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