仮に,いまなお存続している生物種を500万から5000万とし,これまでに出現した生物を50億から500億として割り算をしてみよう。すると,いま生きている種はじつに全体の1000分の1でしかないということになる。つまり,これまでに出現した生物種の99.9パーセントはすでに絶滅してしまっているのだ。せっかくこの世に登場してきたというのに,ほとんどの種は冷たい土の中で永遠の眠りについているのである。
なんとも驚異的な生存率(の低さ)ではないか。気持ちいいほどの皆殺しである。母なる大地などというけれども(それはそのとおりなのだろうけれども),それは自然による一大殺戮ショーの舞台でもあるということだ。地球にやさしくとか言うけれども(そうしたほうがいいこともあるだろうけれども),そもそも生物のほうは地球からそんなにやさしくされていないのではないかとも思えてくる。
吉川浩満 (2014). 理不尽な進化:遺伝子と運のあいだ 朝日出版社 pp.36-37
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