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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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個人の経験

彼らがなぜこれほど鈍感だったのかと言えば,それはひとつには,個人的な付き合いの場では,アメリカの若者たちにとってドイツ人はやさしく親切だと感じられたからだ。1936年にはじめてドイツでひと夏を過ごしたハワード・K・スミスは帰国したのち,<ニューオーリンズ・アイテム紙>の記者としての仕事に復帰したものの,翌年の夏,またドイツに戻ってきた。ドイツの政治制度についてもっとよく知りたいと考えたスミスは,倹約のためにヒッチハイクをすることにしたが,あまりに簡単にどこにでも行けることにひどく驚いたという。「バッグの上から小さなアメリカの旗をかけておくだけで,あの素朴で親切な人たちはすぐに車を停めてくれた。ドイツ人の外国人——とくにアメリカ人——に対するやさしさや,こちらが圧倒されるほどの歓待ぶりには,目を見張るものがあった」。1年前のオリンピックでのアメリカ人アスリートの活躍が,「アメリカ人がドイツ人のいちばんお気に入りの外国人」になった理由だろうと,スミスは考えていた。こうしてドイツ人の親切を受けた旅行者たちは,最後まで無邪気な外国人として機嫌よく過ごし,自分たちのまわりで起こっていた事の本質を見抜けずにいたのだった。

アンドリュー・ナゴルスキ 北村京子(訳) (2014). ヒトラーランド:ナチの台頭を目撃した人々 作品社 pp.339
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