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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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男性の強さ

ナチ党は活動の初期から,男性の精力の強さを誇示することに力を入れていた。「ナチ党が人々の性への本能を掻き立てようと,さまざまな手段を駆使してきたことをわたしは知っている」とシュルツは書いている。「大規模な集会のスピーチでは,ナチ党の男たちによる性の武勇伝が延々と語られ,それを聞いた突撃隊員たちはさっそく実践してやろうと勇んで会場を出て行くのだった。パートナーならすぐに見つかる。女性たちは集会場の外で待っているのだから」。ヒトラーは出生率を上昇させることに熱心で,新聞の売店には「ヌードの男性や女性で埋め尽くされた本や雑誌」が並んでいたと,CBSの新人キャスター,フラナリーは書いている。「ナチスドイツがこうした計画を進めている理由は,ひとつしか考えられなかった」
 多くの男たちが家を離れて敵地へ向かい,とくに1941年6月にドイツ軍がソ連に侵攻し,兵士たちが現地でバタバタと死んでいくようになってからは,当局は出生率向上政策をさらに進化させ,女性の配偶者の有無を問わないことにした。「『非摘出子』という言葉は,ドイツ語から抹消されるべきである」。ドイツ労働戦線の指導者ローベルト・ライはそう宣言した。フラナリーによると,世間体が気になる場合は,女性は戦死した兵士の名前を合法的に貰い受けることができたという。ナチスは,未婚の母親たちは「若きドイツの英雄」の子どもたちを生んでいるのだと喧伝していたが,実際のところ,子どもたちの父親はたいていは「年若い秘書や事務員,販売員たちの既婚の上司」だったと,シュルツは指摘している。こうして「ナチ党が自分たちの非嫡出子を守ってくれるという理由で,ナチズムにしがみつく」女性層ができあがっていった。

アンドリュー・ナゴルスキ 北村京子(訳) (2014). ヒトラーランド:ナチの台頭を目撃した人々 作品社 pp.433-434
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