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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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違和感と拒否

よく知られているように,藤山,淡谷,東海林らは,昭和40年代以降「ナツメロ歌手」として復活後,現役の若い歌手たちの技術の欠如に対して厳しい非難を繰り返しますが,それはむしろ昭和30年代から40年代を通じて流行歌手に必要な素養が,旧来の西洋芸術音楽に基盤をおいたものから決定的に変質してきたことを意味しています。
 藤山の「古賀メロディー」,淡谷の「和製ブルース」,東海林の「股旅調」のように,彼らは現在の「演歌」の原型といえる諸曲調を確立した歌手であるにもかかわらず,淡谷の「演歌嫌い」や「歌屋」発言にはっきりと示されているように,「クラシックに準ずる楽曲」を歌っていると自認していた彼らにとって,西洋芸術音楽の歌唱法に依拠しない「戦後派」の歌手の歌唱(それは現在の「演歌」を最も強く特徴づけているものですが)は,強い違和と拒否をもたらすものであったのです。

輪島裕介 (2010). 創られた「日本の心」神話:「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 光文社 pp.74-75
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