「特性」は,いくつもの異なった用法で用いられるという点で,混乱した用語であるといえる。最も単純なレベルでは,特性とは2人以上の人間に見られる直接観察可能な行動や特質(character)の,ある定義された次元城での差異である。例えば,「特性とは人間が他人から変動する様式であり,その様式には弁別力がある上にかなり持続性がある」(Guilford, 1959, p.6)。この意味での特性は,安定的な行動の個人差が観察されるときに用いられる概略的なラベルである。
特性は,パーソナリティについて説明する際に,説明の便宜のためと説明力を上げるために創られた構成概念でもある。この意味での特性は,持続する行動の一貫性や差異を説明するための構成概念,抽象概念であり,したがってそれは,人のなかにある「もの」「状態」「過程」のような具体的実在と必ずしも対応するわけではない。
ウォルター・ミシェル 詫摩武俊(監訳) (1992). パーソナリティの理論:状況主義的アプローチ 誠信書房 pp.5-6
(Mischel, W. (1968). Personality and assessment. New York: John Wiley & Sons.)
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