高度に普遍的な傾性があるという過程に導かれていることもあって,パーソナリティ心理学の主要な目的は,個人を1つかそれ以上の次元(例えば,不安,内向性)上に位置づけることにある。そのためには個人を何らかの基準と比較する必要があるが,その基準は標準化された状況下でたくさんの人びとをテストすることによって作成されたものであって絶対的な基準ではない。しかし,ある次元上に占める個人の位置がテスト状況の違いや長い時間の間隔を超えて比較的安定すると信じている人びとにとっては,測査における主要な強調点は次のようになる。つまり,個人が内部にもっている,安定性があり持続性があると仮定されている根底的な特性や状態を正確に引きだすために,標準化された条件下で施行される信頼性の高い道具を開発することである。このことはまさに伝統的な特性理論の重要な関心であった(例. Guilford, 1959)。その一方で,環境的条件にはほとんど注意が払われていないが,このことも人間の特性には一貫性があるという基本的な仮定と一致している。例えば,不安特性についてこの点を認識したレヴィット(Levitt, 1967, p.71)は次のように述べた。「不安特性は,理論的に個人内で変化することのない条件なので,状況に応じて変動しない。」
ウォルター・ミシェル 詫摩武俊(監訳) (1992). パーソナリティの理論:状況主義的アプローチ 誠信書房 pp.10
(Mischel, W. (1968). Personality and assessment. New York: John Wiley & Sons.)
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