ダンドレイド(D’Andrade, 1965)は,大学生に,ノーマン(Norman, 1963)の20個の両極性尺度の各極に用いられた用語すべての,相互の意味類似を評定させた。こうして得られた語彙間の意味類似データが,因子分析にかけられた。その結果,意味類似評定の分析においても,ノーマンが対人評定から得たのと本質的に同じ5因子構造が抽出されたのである。すなわち,語彙自体の意味の評定から得られた構造が,対人評定から得られた構造と対応しているのである。このことは,パーソナリティ特性といわれているもののある部分は,外的世界を記述するための言語的要素のひとつとして存在してはいるが,必ずしも外的世界(すなわちパーソナリティ)そのものの反映とはいえないということを示唆している(D’Andrade, 1965)。
ウォルター・ミシェル 詫摩武俊(監訳) (1992). パーソナリティの理論:状況主義的アプローチ 誠信書房 pp.48-49
(Mischel, W. (1968). Personality and assessment. New York: John Wiley & Sons.)
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