社会的行動理論の視点では,精神疾患,不適応,異常といった用語は,行動を示す人の内部に存在する仮定的な疾患や,特性または状態を指すのではなく,すべて人間の行動に対する社会的判断を意味するものである。「適切な」社会化や適応に関して言われていることには,個人が社会的に期待され,認められている行動をどの程度おこなうか,についての判断が関係している。こうした判断はまた,その人が文化的に是認された目標や行動をどの程度評価するか,という推理にしばしば左右される。不適応,逸脱,人格障害についての言明には,それに反して,個人の行動がその人自身や他人にとって,どの程度有害な,あるいは不都合な結果を生み出すかについての推断が関係する。
ウォルター・ミシェル 詫摩武俊(監訳) (1992). パーソナリティの理論:状況主義的アプローチ 誠信書房 pp.210
(Mischel, W. (1968). Personality and assessment. New York: John Wiley & Sons.)
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