代表民主制のある種の欠陥は,選挙で衆参両院の多数派を占めれば,次の選挙まで政権党は強行採決という手法をとれば,なんでもできてしまう。いまの自民党のように党内にこれといった反対勢力がなければなおさらである。安倍首相はまさにこの「代表民主制の欠陥」を逆手にとって,合意する道を投げ出した分断・対決型の劇場政治を断行,限りなく「独裁」に近い政治をおこなっているのである。
そして,その最大の武器が「断定口調」「レトリック」「感情語」という「アベ流言葉」である。合意することを放棄しているので,反対勢力を説得する必要はなく,分断し対決する状況をつくるための言葉であればいいのである。政策と民意のずれは各種世論調査が物語っている。安倍首相の発する言葉を引き金とした「政権の暴走」を止める手立てはないのだろうか。
徳山善雄 (2015). 安倍晋三「迷言」録:政権・メディア・世論の攻防 平凡社 pp.230
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