建国の父たちは「勤勉」という美徳にしばしば言及したが,そのさいには18世紀の表現である「industry」を使っていた。この「industry」は,独立革命のそもそもの原動力となった一連の資質のことを意味している。アメリカの独立革命が起きたのは,ただたんに人々が表現の自由や信仰の自由,「代表なくして課税なし」といった原則を望んだからではない。そこには,自力で成功をつかみ取り,自分と子供たちの暮らしを豊かにすることができてこそ人生だという,アメリカ人の骨身にしみこんだ気負いが働いていたのであり,そうした精神こそが「industry」だった。わたしはなじみのある現代語「industriousness」を使うが,「industry」と同じように,かなり広い概念を念頭に置いている。
チャールズ・マレー 橘 明美(訳) (2013). 階級「断絶」社会アメリカ:新上流と新下流の出現 草思社 pp.195
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