新しい習慣が生まれる過程はこうだ。きっかけとルーチンと報酬が結びつき,その後,欲求が生まれてループを作動させる。
喫煙を例にとってみよう。喫煙者がきっかけ(たとえば,マルボロのたばこ)を見ると,脳がニコチンの直撃を期待し始める。たばこを目にするだけで,脳はニコチンを求めてしまうのだ。それが得られないと欲求はふくれ上がり,喫煙者は無意識にマルボロに手を伸ばすことになる。
次にメールを考えてみよう。コンピュータがメールの新着を告げる音を出したり,スマートフォンが震えたりすると,メールを開くことによる束の間の気晴らしを脳が期待し始める。それが満たされないと期待はふくれ上がり,ミーティングの場が,テーブルの下で振動する携帯を確認する落ち着かない社員たちの集まりになってしまう。たとえそれがオンラインゲームの結果のお知らせにすぎないとわかっていても,チェックせずにはいられないのだ(振動を消して,きっかけさえ取り除けば,受信箱を確認しようと思うこともなく,ずっと働くことができる)。
チャールズ・デュヒッグ 度会圭子(訳) (2013). 習慣の力 The Power of Habit 講談社 pp.81-82
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