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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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感覚を売る

ペプソデントが市場を独占するようになると,競合他社の研究員はその理由を見極めようと奮闘した。その結果判明したのは,消費者はペプソデントを使い忘れたとき,口の中がひんやりしないのが物足りなくて,使わなかったことに気づくという点だ。消費者はそのかすかな刺激を期待し,求めたのである。ひりひりしないと,歯がきれいになった気がしないのだ。
 クロード・ホプキンスは美しい歯を売ったわけではない。彼が売ったのは感覚だった。ひりひりするような,ひんやりした感覚を人々が求めるようになったからこそ,つまりその感覚を歯がきれいになったことととらえるようになったからこそ,歯磨きは習慣になったのだった。
 ホプキンスが実際に何を売っていたかに気づくと,同業他社もそれに追随した。20年もたたないうちに,大半の練り歯磨きに,歯肉を刺激する油や化学薬品が含まれるようになり,ペプソデントの売り上げが落ち始めた。今日でも,ほとんどの練り歯磨きには,歯を磨いたあとで口の中をひりひりさせることだけが目的の添加物が含まれている。

チャールズ・デュヒッグ 度会圭子(訳) (2013). 習慣の力 The Power of Habit 講談社 pp.93
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