たとえばここ10年ほどに行われた,毎日の日課に運動を組み込む影響について調べた研究を見てみよう。定期的に運動を始めると,それがたとえ週に1回といった少ない回数でも,他の運動とは関係のない部分も,知らないうちに変わってくる。代表的なのが,運動を始めると食生活が向上し,さらに職場での生産性も上がるという現象だ。喫煙量が減り,同僚や家族に対しても寛大になる。クレジットカードを使う回数が減り,ストレスも軽減する。なぜそうなるのかは,はっきりとはわかっていない。しかし多くの人にとって,運動というキーストーン・ハビットが引き金となり,幅広い変化が引きおこされたと考えられる。
「運動するようになると,その影響が他の部分にも広がります」ロードアイランド大学の研究者ジェームズ・プロチャスカは言う。「そこには何か,他の習慣を楽にする何かがあります」
チャールズ・デュヒッグ 度会圭子(訳) (2013). 習慣の力 The Power of Habit 講談社 pp.158-159
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