この2人の著者は10年以上かけて,企業がどう機能しているかを研究し,膨大なデータの沼地をじわじわと進みながら,主として次のような結論に達した。彼らの本によると「企業の行為の多くは決断という木の先にある小枝をじっくり観察した結果ではなく,概してその企業の過去に由来する全般的な習慣と戦略的対応の反映だと理解される」という。
これを理論経済学には縁のない人間にもわかりやすい言い方をすると「大半の企業が慎重な意思決定にもとづいて合理的な選択をしているように見えるかもしれないが,実際はそうではない」ということだ。むしろ,企業は長年続いてきた組織内習慣によって導かれている。数千人の従業員それぞれの決定から生まれたパターンだ。そしてこの習慣の影響力がどれほど大きいか,それまで誰も理解していなかった。
チャールズ・デュヒッグ 度会圭子(訳) (2013). 習慣の力 The Power of Habit 講談社 pp.225-226
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