ラベルにしがみつくのは破壊行為である。それは,自分を互いに分離する壁を打ち立てる行為である。それなのに私たちは各々のやり方で,世界を「私たち」と「彼ら」に分けている。これは非人間的プロセスで,恐れや暴力へと通じかねない。私にとって「彼ら」とは軍隊的なものだった。軍隊を邪悪で間違った,世界の破壊者だと考えていたのである。
私が軍隊のために働くようになった経緯についてはすでに述べたが,それはまったく人生観を変える出来事だった。いかに「彼ら」が自分と同じ普通の人間であるかを教えられたのである。彼らは生き延びる方法,人々を助ける方法について違う考えを持っていた。私はその考え方には賛成できなかったが,理解しようと励み,共感しようと努めた。そして,力による問題解決を試みることへとつながりかねない,同じような感情や考えは私自身の中にもあることを知った。
スティーヴン・マーフィ重松 坂井純子(訳) (2016). スタンフォード大学 マインドフルネス教室 講談社 pp.153-154
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