ウェルビーイングとは,まさにその構成からして「天気」や「自由」のようなものだ。1つの尺度だけでは完全には定義しきれない(「完全に定義する」を専門用語では「操作可能」と言う)。だが,いくつかのものがウェルビーイングに関係しているのであって,それらがウェルビーイングの要素であり,それぞれ測定できるものだ。
対照的に,幸福理論では,人生の満足度が幸せを操作するが,それはちょうど気温と風速が体感温度を決めるようなものだ。ここで肝要なのは,ウェルビーイングの要素そのものが異なる種類のものだ,ということだ。ウェルビーイングの要素の場合には,最初の幸福理論のように,ポジティブ感情,エンゲージメント,意味・意義をめぐる思考や感情についての自己報告にとどまらない。
マーティン・セリグマン 宇野カオリ(訳) (2014). ポジティブ心理学の挑戦:“幸福”から“持続的幸福”へ ディスカヴァー・トゥエンティワン pp.32
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