従来の繁栄は経済的富と同一視された。この定式に基づき,富裕国では一般的に,私たちの世代が,親の世代よりも暮らしぶりがよくなる最後の世代であろうと言われている。これはお金に関しては当てはまるかもしれないが,はたして,すべての親が子どもに望むのはもっとお金を稼ぐことなのだろうか?私はそうは思わない。親が自分の子どもに望むのは,自分よりもウェルビーイングを多く享受することであろう。ここに,子どもが親よりもよい生活を享受できるという希望が生まれる。
新たな繁栄のあり方を考えるべき時代に来たのだ。教育や育児の目標として,持続的幸福について真剣に考えてみるべきときが。持続的幸福を重視し,実現することを学ぶためには,早期,すなわち学校教育における学童の人格形成期に始めなければならない。ポジティブ教育によって可能となるこの新しい繁栄こそが,世界が今選択することのできる道である。
マーティン・セリグマン 宇野カオリ(訳) (2014). ポジティブ心理学の挑戦:“幸福”から“持続的幸福”へ ディスカヴァー・トゥエンティワン pp.173
PR