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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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瀉血の容認

数千年にわたる医学の歴史の中で,瀉血はほとんどすべての時代を通して治療として行なわれてきたのであるが,まことに不思議なことである。確かに瀉血によって病態が改善することもあったであろうが,私たちの現代医学を学んだものにとっては,考えられないことである。
 しかし,古代はもちろん,ガレノスの時代は瀉血が唯一の治療法であったのである。中世,アラビア,近代の医学においても,瀉血が占める医療の役割は大きく,さらに僧侶や一般大衆の健康法としてまで普及していたのであるが,これは医学の錯誤としかいいようがない。医学が大きな過ちを堂々と繰り返していたのである。当時も瀉血が人間に決して良好な結果を与えていないと信じていた医師もいたのだが,社会全体が瀉血を容認しているものだから,それに立ち向かうことはできなかったのである。

藤倉一郎 (2011). 瀉血の話 近代文藝社 pp.111
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