拡散的好奇心は知識の探求の第一歩だ。最新の情報,これまでにない経験や感動,挑戦を求める強い感情が原動力となる。だが,それはあくまでも始まりにすぎない。バークの指摘が不思議と聞き覚えがあるように感じられるとすれば,それはおそらく,私たちがインターネットを使うようすと重なるからだろう。私たちは次々とリンクをクリックし,目の前にあるものを十分に理解することも吸収することもなく次の検索を始める。現代のデジタル世界では,途切れることなく押し寄せるメールやツイート,リマインダー,ニュースアラートによって拡散的好奇心が常に刺激され,私たちは新しいものをますます渇望するようになっている。知識を自分のものにするには時間と根気を要する複雑な手順を踏まなければならないが,デジタル世界に暮らすうちに,そうした作業に取り組む私たちの能力は損なわれつつあるのかもしれない。
イアン・レズリー 須川綾子(訳) (2016). 子どもは40000回質問する:あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力 光文社 pp.41-42
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