2012年,ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの研究者たちが,1997年から2010年のあいだに発表された241件の研究結果を利用し,どのような社会的背景や性格を持ち合わせた高校生が大学で優秀な成績を収めるのかを検証した。結果はフォン・シュトゥムらの研究結果ときわめて近いものだった。彼らは,3つの要因に注目した。性別や社会階級といった人口統計学的な属性,知能指数や高校での学業成績といった認知能力に関する指標,そして自尊心や楽天的傾向といった,これまでに学業成績に影響を与えると指摘されたことのある42の性格的特質だ。人口統計学的な属性は大学での成績にはほとんど影響がないことがわかった(ただし経済的環境などは,そもそも大学に進学するかどうかを決める時点で影響している)。大学での性向を占う最大の要因は,知能と高校までの成績だった。それ以外に明らかに関連があると認められたのは,勤勉さと「認知欲求」——好奇心を指す心理学用語——だけだった。
イアン・レズリー 須川綾子(訳) (2016). 子どもは40000回質問する:あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力 光文社 pp.148
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