よく言われることだが,人の意欲を高めるには将来について考えさせるのが効果的だとされる。自分はどこまで到達できるのか,あるいはどんな人物になりたいのか。教師や人生のメンターがモチベーションについて語るとき,目標を設定することの重要性を力説するのが一般的だ。この仕事で成果をあげれば昇進できるでしょう。あともう1セットベンチプレスをこなすには,理想の二頭筋を思い浮かべて。これはもっともなことだ——私たちは退屈でも不愉快でも避けられない作業をなんとかやり遂げるために,将来得られる利益を思い描いて励みにする。しかし,目標に意識を集中してやる気を高める方法には問題がある。将来に焦点を合わせると現在を楽しめず,結果的に自分がしていることを面白いと感じなくなり,ひいては最後までやり抜く気力まで薄れてしまう。
イアン・レズリー 須川綾子(訳) (2016). 子どもは40000回質問する:あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力 光文社 pp.280-281
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