防止というのは,自殺の具体的な手段から遠ざかる方法である。例えば,ビル屋上のフェンスの高さを何メートル以上にすると飛び降りるひとがいないとか,地下鉄などにあるホームドアなどがあげられる。主にハード面での対策が考えられる。自殺に至る前の段階の敷居を高めることで実際の行動を思いとどまるひとが増える。
予防は……これはさまざまだ。例えば,飲酒は,1日40グラム以上のアルコール(日本酒で2合程度)を毎日摂取すると,そうではないひとに比べて自殺で亡くなるひとの割合がぐっと増えるので,60グラムを大量飲酒と考えて大量飲酒はやめましょうという予防対策が出てくる。
つまりは,今,予防の話をしているのか,防止の話をしているのかを分けて考えることが考えを整理し対策を考えるときに大事だという話だ。
森川すいめい (2016). その島の人たちは,ひとの話をきかない:精神科医,「自殺希少地域」を行く 青土社 pp.25-26
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