さらに東京の中を個別に見ると,東京都の中でも人口は一様に増えているわけではないことがわかる。東京の中心部である23区内だけを見ても,人口の増減にはばらつきがある。1章でも述べたが,23区の中で人口増加率(平成27年1月現在の「東京の人口(推計)」)が高いのは,千代田区の5.1パーセント,中央区の3.9パーセント,港区の2.4パーセントと,中心に位置する3区である。つまり,東京一極集中の内訳を見てみると,東京内での中心部への一極集中が進んでいることがわかる。
東京の周辺部はすでに人口減少段階に入りつつあるが,中心部はまだまだ人口増が予測されている。東京都の人口も,2020年をピークに,人口減少に突入するということが予測されているが,それを中心部3区(千代田,中央,港)で区切れば,これらの区は2030年までは,人口増が予測されている。
東京一極集中は,実のところ東京内一極集中なのだ。
速水健朗 (2016). 東京どこに住む?住所格差と人生格差 朝日新聞出版 pp.121-122
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