MBTIテストは,20世紀の偉大な心理学者カール・グスタフ・ユングの理論に基づいて,キャサリン・クック・ブリッグスとイザベル・ブリッグス・マイヤーズという実の母娘でもある研究者が開発した,パーソナリティを理解するためのテストです。
現行の標準的なMBTIでは,93項目の質問に答えることで,4つの対立する指標である「外向——内向」「感覚——直観」「思考——感情」「判断——知覚」のいずれかを組み合わせた16のタイプ(アルファベット4つで表現)で,個人のパーソナリティの傾向を表します。
アメリカでとても人気が高く,毎年250万人以上が検査を受けているこのテストは,有料テストや研修プログラムも豊富で,多数の書籍やDVDが販売されています。16タイプを表す4つのアルファベットの組み合わせがプリントされたTシャツもあちこちで見かけます。
なぜ,MBTIはこれほどまでに人気があるのでしょう?(そして,私はなぜ,彼女のTシャツを見たときに,心の中で「やれやれ」とつぶやいたのでしょう?)
おそらく,それはMBTIの信頼性や妥当性が高いからではありません。
まず,信頼性の面では,4つのアルファベットの組み合わせからなる16種類のタイプが,毎回同じものになるとは限らないことがわかっています(つまり,あの女性も再度検査したら,別のTシャツを買わなくてはならなくなります)。また,他のパーソナリティ検査と違って,大規模な研究基盤があるわけでもありません。
ブライアン・R・リトル 児島 修(訳) (2016). 自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義 大和書房 pp.51-52
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