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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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オウム真理教と大量破壊兵器

 ビン・ラディンがこの教訓を学んだ最初の人間ではなかった。世界の関心が凶悪なイスラム原理主義者に向いているため忘れられやすいが,テロの世界で大量破壊兵器を手に入れ,用いた最初の狂信者は,日本のカルトであるオウム真理教に属していた。オウム真理教は,麻原彰晃に導かれて,大量の死傷者を出すテロ攻撃を起こし,それをきっかけにハルマゲドンを引き起こしたいという考えに取りつかれていた。最盛期に約6万人の信者を抱えていたその資産は恐ろしく大きなものだった。少なくとも現金で数億ドル持っており,ことによるとその額は10億ドルに達していたかもしれなかった。そして,このカルトは高度な技術を持った信者を抱えていた。オウム真理教は日本の最高レベルの大学で生物学と化学,物理学,工学の分野の大学院生を積極的に勧誘し,彼らにお金で買える最高級の装置と設備を提供した。1人の科学者は,単に,オウム真理教の実験室が自分の大学の実験室よりずっと優れていたというだけの理由で入会したのだとのちに告白した。一時期,オウム真理教は,生物兵器の研究をする科学者を20人抱えていた。ほかに80人が化学兵器を研究していた。
 ギルモア委員会によると,オウム真理教は核兵器も手に入れようとしており,オーストラリアの辺境にある50万エーカーの羊の大牧場を購入することまでしていた。これは,ウランを採掘して日本に輸送し,「科学者がレーザー濃縮技術を用いて輸送したウランを核兵器製造に適した品位の核物質に変える」という計画に基づくものだった。既成の兵器も非常に熱心に購入しており,ロシアで大量の小火器を購入した。そして,「戦車やジェット戦闘機,地対地ロケット弾発射機,さらには戦術核兵器までもの先端兵器の購入に関心を示していたことが知られている」。
 オウム真理教はどんな機会も見逃さなかった。エボラ出血熱が1992年10月に中央アフリカで発生したとき,麻原彰晃は40人の自分の弟子を率いて人道的使命という名目でこの地域を訪れた。現在,当局は,日本で量産するためにエボラウイルスのサンプルを集めようとしていたと考えている。だが失敗した。


ダン・ガードナー 田淵健太(訳) (2009). リスクにあなたは騙される:「恐怖」を操る論理 早川書房 pp.385-387.
(Gardner, D. (2008). Risk: The Science and Politics of Fear. Toronto: McClelland & Stewart Inc.)
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