読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ごくふつうの人間は,なにを犠牲にしても人を殺すのだけは避けようとする。このことはしかし,戦場の心理的・社会的圧力の研究ではおおむね無視されてきた。同じ人間と目と目が会い,相手を殺すと独自に決断を下し,自分の行動のために相手が死ぬのを見る――戦争で遭遇するあらゆる体験のうちで,これこそ最も根源的かつ基本的な,そして最も心的外傷(トラウマ)を残しやすい体験である。このことがわかっていれば,戦闘で人を殺すのがどんなに恐ろしいことか理解できるはずだ。
デーヴ・グロスマン 安原和見(訳) (2004). 戦争における「人殺し」の心理学 筑摩書房 pp.84