読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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これは興味深いことだが,何ヵ月も連続して戦闘のストレスにさらされるというのは,今世紀の戦場でしか見られない現象だ。前世紀までは,何年も続く攻城戦のときでさえ,戦闘からはずれる休暇期間は非常に長かった。おもに火砲や戦術がまだ未熟だったために,ひとりの人間が数時間以上もつづけて実際の危険にさらされることはめったになかったのだ。戦時には精神的戦闘犠牲者は必ず出るものだが,物理的・兵站的な許容量が増大して,人間の精神的許容量を完全に超えるような長期の戦闘が可能になったのは今世紀に入ってからなのである。
デーヴ・グロスマン 安原和見(訳) (2004). 戦争における「人殺し」の心理学 筑摩書房 pp.102-103