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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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教育と理解

 ヘクラーが指摘するように,「ほとんど知られていないが,道義的見地から軍事力を縮小した一連の前例」が存在する。その前例が示しているのは,理解に至る道――すなわち,戦争を,殺人を,そして社会における人間の生命の価値をどう考えるか,その選択権は私たちが握っているのだという,その理解に至る道なのである。近年,人類はこの選択権を行使して,核による滅亡の瀬戸際から身を退いた。同様に,殺人を可能にする技術を社会から遠ざけることもできるはずだ。教育と理解が第一段階だ。そしてやがてはこの暗い時代を過去のものにして,いまよりも健全な社会,いまよりも自己についてよく知っている社会を作り上げることができるだろう。


 だがそれに失敗すれば,残された可能性はふたつしかない。かつてのモンゴル帝国や第三帝国と同じ道をたどるか,レバノンやユーゴスラビアと同じ道をたどるかだ。次の世代も,また次の世代も,同類たる人間の苦しみにたいしてますます脱感作されて育ってゆくなら,そのほかの可能性などありえない。私たちは,社会に安全装置を掛けなおさねばならないのである。




デーヴ・グロスマン 安原和見(訳) (2004). 戦争における「人殺し」の心理学 筑摩書房 pp.504-505


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