読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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以上を要約すれば,一括して新行動主義者と呼ばれてきた人々は,すべて,近代自然諸科学の一つである行動主義心理学の基本路線は堅持しながら,その中で,可能な限り,ゲシュタルト心理学の提言を取り入れることによって,少なくとも古典的行動主義の要素主義的方法論の行き詰まりを打開しようとしてきたし,また,「操作的定義」という新しい武器を用いることによって,意識主義と行動主義の認識論的統合を実現することも目指していたに違いない。だが,すでに見たように,この種の“統合”が論理的に不完全であることは明らかであり,新行動主義が結局のところ古典行動主義の改良版でしかありえなかったことは,いまや誰の目にも明白なものとなっている。
高橋澪子 (2016). 心の科学史:西洋心理学の背景と実験心理学の誕生 講談社 pp.53