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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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物々交換が世界を変えた

 物々交換こそ世界を変えた芸当だった。H.G.ウェルズの言葉を借りれば,「私たちは野営地を永遠に引き払い,旅の途についた」のだ。およそ8万年前にはアフリカの大半を制した現生人類は,それでやめにはしなかった。私たちの遺伝子はほとんど信じられないような話を語っている。アフリカ以外で生まれた人全員のミトコンドリアの染色体とY染色体のDNAの変異パターンを調べると,次のような筋書きが実証される。6万5000年ほど前,あるいはそれからそれほど時を経ない時点で,総数わずか数百人程度の一集団がアフリカを離れた。彼らはおそらく,当時は今よりずっと狭かった紅海南端の海峡を渡ったのだろう。それからアラビア半島南岸沿いに広がり,大部分が干上がったペルシア湾を越え,インドと,当時は陸続きだったスリランカの沿岸を通り,ゆっくりと先へ進み,ミャンマー,マレー半島を抜け,そのころはインドネシアの島々の大半が埋め込まれていたスンダと呼ばれる陸塊の岸に沿って広がり,やがてバリ島近くの海峡に至った。だが,彼らはそこでも止まらなかった。きっとカヌーか筏に乗り,少なくとも8つの海峡(最大のものは65キロメートル以上)を漕ぎ渡り,島づたいに進んで,おそらく4万5000年ぐらい前に,オーストラリアとニューギニアが合わさった大陸,サフルにたどり着いた。



マット・リドレー 大田直子・鍛原多惠子・柴田裕之(訳) (2013). 繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史 早川書房 pp.115-116


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