読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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しかしこの三カ国だけではない。出生率は世界中で低下している。1960年より出生率が上がっている国は皆無で,発展途上国全体で出生率はおよそ半分になっている。国連は2002年まで,将来の世界の人口密度を推定するにあたって,ほとんどの国の出生率は女性一人につき子ども2.1人を下回ることはないと仮定していた。これは「人口置換水準」,つまり1人の女性が自分と夫の代わりになる赤ん坊を産むとしたうえで,小児期の死亡やわずかに男性が多い性比を補うために0.1人を加えた数値だ。しかし産まれる赤ん坊がひたすら減り,2.1人よりもさらに減り続ける国がどんどん増えていることが明らかになったため,2002年,国連はこの前提を変更した。どちらかと言えば,核家族化の影響が相まって,出生率減少は加速している。今や世界の半分は出生率が2.1人より低い。スリランカの出生率は1.9人で,すでに置換水準を十分下回っている。ロシアの人口も急激に減少していて,2050年にはピークだった1990年代前半の3分の1以下になるだろう。
マット・リドレー 大田直子・鍛原多惠子・柴田裕之(訳) (2013). 繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史 早川書房 pp.317