読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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人間の体を形成,維持している7万5000組の遺伝子は,小さな町に住む7万5000人の人間と同じような状況に置かれている。人間社会というものが,自由な経済活動と,社会的な協力行為との不安定な共存関係で成り立っているように,体内における遺伝子の活動も,ちょうどそれと同じように機能している。人々が協力しあわなければ,町は共同体となりえない。だれもが他人を犠牲にして,嘘をつき,人を騙し,盗みをはたらき,みずからの富を追求したとしたら,商業,行政,教育,スポーツといったすべての社会活動は,相互不信のうちに機能が麻痺することだろう。同様に,遺伝子どうしが協力しあわなければ体ができないので,遺伝子はその住みかである体を,次世代に遺伝子を伝える道具として使うことはできない。
マット・リドレー 長谷川眞理子(訳) (2014). 赤の女王:性とヒトの進化 早川書房 pp.153-154