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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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進化の所産

 先のような誤った考えのために,人間の研究は数年前までまったく旧態依然としたままであった。現在ですら人類学者や社会学者の多くは,進化から学ぶべきものはないと明言している。人間の肉体は自然淘汰の所産であるが,人間の心や行動様式は「文化」の所産である。人間の文化は,人間の本性を反映してはおらず,本性が文化を反映しているのだ,と。それゆえ社会学者たちは文化間の相違や,個人間の相違のみに研究を限定し,そうした相違を過大視しているのである。しかし私が人間について最も興味を感じるのは,人間が共有している事柄であって,文化によって異なる事柄ではない。例えば文法規則のある言語,階級制,ロマンチックな恋,性的嫉妬,異性間の長期にわたる絆(「結婚」とも呼ばれる)などである。こうしたものは我々の種に特有な,学習で変更可能な本能で,目や親指がそうであるように,まぎれもなく進化の所産なのである。



マット・リドレー 長谷川眞理子(訳) (2014). 赤の女王:性とヒトの進化 早川書房 pp.286-287


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