読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ドミニカ等を北方に引っ張ってフロリダ州と接する境界にまで移動させてみよう。これはアメリカにドミニカが加わったことを意味しているので,新しく算出されたIQの平均値は低下し,IQの分布は下方に広がるだろう。しかし,そのことによってもともとアメリカに住んでいた人々のIQが変化することはないだろう。つまり,彼らが持っていた遺伝的能力がどのようであれ,それはそのまま残るだろう。そしてIQ130位上のエリート(トップ2.27%)は,社会を動かすためにそのまま留まるだろう。仮に移民が人口の10%加われば,エリートの割合は低下し,2.27%に100を掛けて110で割った2.06%になるだろう。しかし,絶対数が変化することはない。もちろん,異民族間の結婚も多少あるかもしれない。しかし,アメリカのエリートが使用人や小作人と結婚する傾向はない。彼らは IQの釣り合った相手と結婚する傾向があり,そのなかには移民のなかの超エリートだけが少し含まれるだろう。したがって,こうした傾向は,次の超エリート世代のIQを低下させることにはならないだろう。
(Flynn, J. R. (2013). Intelligence and Human Progress: The Story of What was Hidden in our Genes. New York: Elsevier.)
ジェームズ・ロバート・フリン 無藤 隆・白川佳子・森 敏昭(訳) (2016). 知能と人類の進歩:遺伝子に秘められた人類の可能性 新曜社 pp.67-68