読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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言い換えれば,現代的な心の習慣は,単に現代生活に適応するのに役立つだけでなく,成熟した道徳的推論によって現代世界を改善することにも役立つのである。心の習慣はマーティン・ルーサー・キングと共に自由に向かって行進することの意義や,ベトナムやイラク・アフガニスタンで外国人を殺害したことの見返りとして受けたダメージを真剣に受け止めることの大切さを教えてくれる。「ベトナムを爆撃して石器時代にしてやる」と言う将軍は,今時いないであろう。もちろん私は,すべての人が人種差別やナショナリズムや残酷さから脱却するための最初の一歩を踏み出したわけではないことを知っているし,多くの要因が偏見を見えにくくしていることにも気づいている。しかしながら,道徳哲学の研究と教育に人生のすべてを捧げ,1957年に南部でその仕事を開始した者として,私は偏見を減らすためには理性の教育こそが重要であることを知っている。
(Flynn, J. R. (2013). Intelligence and Human Progress: The Story of What was Hidden in our Genes. New York: Elsevier.)
ジェームズ・ロバート・フリン 無藤 隆・白川佳子・森 敏昭(訳) (2016). 知能と人類の進歩:遺伝子に秘められた人類の可能性 新曜社 pp.