読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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ヒトラーの雇った占星術師についてはほとんど知られていないが,そういうチームがあったことは驚くに値しない。魔術や超常現象は,古くからドイツの歴史の一部に組みこまれていた。十六世紀には神聖ローマ帝国の三百の領邦で,十万人以上の人々が魔法を使ったかどで,拷問を受け火刑に処せられた。拷問のひとつに,“祈りの腰掛”という,とがった鋲をびっしり打った長方形のベンチを使うものがある。囚われたものたちはこのベンチの上にひざまずかされ,耐え切れなくなって罪を告白した。一度罪を問われると,抵抗しても無駄だった。バンベルク市の役人は,娘に宛てて,身を案じてくれた看守の勧めにしたがって,ありもしない罪を告白してしまった旨の手紙を書いている。
「とにかく自分が魔術を使ったと認めない限り,あらゆる拷問が続く。耐えられるはずがない……嘘でもいいから罪を告白したほうが身のためだ」そう看守に言われたという。
デヴィッド・フィッシャー 金原瑞人・杉田七重(訳) (2011). スエズ運河を消せ:トリックで戦った男たち 柏書房 pp.94-95