読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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猫やウサギやネズミや牛は,青と緑は感知するが,赤という色を知らない。つまり,雄牛は絶対に赤を識別していないということだ。それなのに,どうして闘牛士は赤いマントを振り回すのだろう?それはたんに,これから耳を切られ,尾を落とされ,命まで奪われることになる哀れな動物の血の色を目立たなくするためである。
そのほかの動物の色覚についても見ていこう。馬は,黄色と緑を正常に識別するが,青と赤を混同する。爬虫類では,カメは青と緑とオレンジを識別し,トカゲは黄色と赤と緑と青を見分けることが知られている。昆虫はどうかというと,黄色を非常によく感知する。蝿取り紙やその他の虫取り用の罠に黄色が使われているのには意味があるのだ……。また,広い海の上では,虫はあまりありがたくないお客だ。だから,一般に,船体を黄色く塗ることは禁止されている。大量の花粉があると勘違いして,虫が巣を作るのを避けるためである。そして最後につけ加えると,鳥は色覚が非常に発達しており,形や動きよりも色に応じて行動していると思われる。
結論を言えば,人間とほぼ同じ色覚と光スペクトルを持つ動物は,リスとトガリネズミ,そして一部の蝶だけとされている。ごくわずかと言ってよいだろう……。
だが,自慢するにはあたらない。人間よりも優れた色覚を持つ動物はたくさんいるのだから!その筆頭が甲殻類だ。シャコは12種類,それに続くエイも10種類の光受容体を持ち,「三色型色覚」(青・緑・赤)として公認されている人間の目を大きく引き離している。
ジャン=ガブリエル・コース 吉田良子(訳) (2016). 色の力:消費行動から性的欲求まで,人を動かす色の使い方 CCCメディアハウス pp.46-47