読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2009年にヒューレット・パッカード社は,さらに踏み込んだ調査をヨーロッパで行った。
9カ国において,従業員の代表に「中立的な意見」に関するアンケート,つまり回答者にとっては,一見してまったく興味のわかない質問を行ったのだ。解答用紙は色違いで四種類(青・黒・緑・赤)作成され,その意見に関して,「賛成」「反対」あるいは「どちらでもない」を記入するようになっていた。
結果は非常に興味深いものだった!「どちらでもない」(否定でも肯定でもない)という回答は,青の用紙の47パーセントと黒の用紙の43パーセントを占め,緑の用紙の28パーセントと赤の用紙の19パーセントより格段に多かった。この傾向は,フランスではさらに強くなる。「どちらでもない」が青の用紙では63パーセント,黒の用紙では51パーセントになったのだ。
さらにこの調査からわかったのは,過激な意見と赤との関係である。赤の用紙では,賛否にかかわらず極端な意見が29パーセントを占めた。これは黒の用紙の10パーセントと比べると,3倍近いことになる。
だが,この結果で最も驚かされるのは,緑の用紙を用いた回答者の半数以上(53パーセント)が,提示された文章に賛同していることだ。黒の用紙では36パーセントにすぎない。緑は人を納得させる力が非常に強い色だと言えるだろう。
ジャン=ガブリエル・コース 吉田良子(訳) (2016). 色の力:消費行動から性的欲求まで,人を動かす色の使い方 CCCメディアハウス pp.82-83