読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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自然が私たちの心身に役立つ理由をめぐっては,3つの対立する説がある。1つ目は進化にかかわるもので,食糧が見つかる肥沃な自然環境を探し出すのを助けるために,自然界の事物を好ましいと思う性向が進化したのだと主張する。2つ目は心理学的な説で,自然は私たちに「自分よりも大きい」何かに属しているという感覚を与えることによって,過度な自己中心性やネガティブな思考に陥るのを妨げるのだと訴える。第3の説は,自然界の中で人の回復を助けてくれる場所には「ソフトな魅力」があると主張する。つまりそのような場所には雲や夕日,風にそよぐ葉の動きなど,見た目に魅惑的で心を落ち着かせてくれるものが存在し,このソフトな魅力が心に平穏をもたらす助けになるというのだ。これらの説は,美しく感じられて心地よい自然界の音に対する私たちの反応を説明するには役立つかもしれない。しかし,そうでない音についてはどうだろう。
トレヴァー・コックス 田沢恭子(訳) (2016). 世界の不思議な音 白揚社 pp.97-98