読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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本物の宇宙船の内部といえば,私は無重力状態でおだやかにゆったりと浮遊する人の姿を思い描く。2012年の初めにNASA宇宙飛行士のロナルド・ギャレンに会ったとき,彼は国際宇宙ステーションでの6ヶ月間のミッションを終えて帰還したばかりだった。彼は,本物の宇宙船の音環境は静穏からは程遠いと教えてくれた。宇宙遊泳で船外に出たときでさえ(彼の過去のミッションには6時間半に及ぶ宇宙遊泳が含まれていた),静寂など存在しなかったという。逆に静かだったら,それは呼吸用の空気を循環させるポンプが機能を停止したということなので,不安に駆られたはずだ。宇宙船は,冷蔵庫や空調装置やファンなどの騒々しい機械装置だらけである。理論上は騒音も軽減もできなくはないが,音が静かでそのぶん重たい装置は軌道への打ち上げ費用がかさむ。
トレヴァー・コックス 田沢恭子(訳) (2016). 世界の不思議な音 白揚社 pp.245