読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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そもそもサラリーマンの現在の税金(源泉徴収制度)というのは,戦争中のどさくさにまぎれてつくられたものなんです。
信じられないかもしれませんが,戦前はサラリーマンに税金が課せられていなかったのです。サラリーマンの給料に課税されるようになったのは,戦時中のことです。
それまでは,会社が税金を払っているので,その従業員であるサラリーマンは税金を払わなくていいということになっていたのです。
実際,会社ではその利益から税金を払っているわけだから,その社員にも税金を課せば,二重取りのようなことになりますからね。
でも,戦局が悪化し,軍費が不足したために,苦肉の策として戦時特別税としてサラリーマンから税金を取るようにしたのです。
しかも,その徴税方法は,会社に命じて天引きさせる,という「源泉徴収」の制度が取り入れられました。この源泉徴収制度は,同時期にナチスドイツで始められ,効率がいいということで日本もそれを取り入れたのです。
戦時中の特別税ですから,本来ならば,戦争が終われば廃止されていいはずでした。しかし,終戦後,極度の税収不足が続いたので,サラリーマンの特別課税はそのまま継続されたのです。
このように,本来,臨時的な税金であったサラリーマンの税金ですが,戦後の混乱が終わり日本経済が落ち着いたころには,国の税収の柱となっていました。そして,今さら廃止できない,ということになったのです。
またバブル崩壊以降は,税収不足になれば,サラリーマンの税金を上げるというパターンが続けられ,40%以上もの高負担率となったのです。
戦前の所得税の税率というのは,戦局が悪化する前までは8%でした。戦前,所得税を払っていたのは,かなりの金持ちです。金持ちですら8%の税金でよく,中間層以下には所得税は課せられていなかったのです。
大村大次郎 (2015). 元国勢調査官が明かす 金を取る技術 光文社 pp.158-159