読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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大学の授業料高騰の原因を説明するのに経済学者のウィリアム・ボーモルとウィリアム・ボーエンによる「ボーモルのコスト病」(Baumol’s Cost Disease)という理論がある。教育など,人と人との関わりが重要で専門知識の必要な職務は,製造業のように機械やオートメーションなどのテクノロジーで補えないから,生産性の割には人件費が他の職種に比べて高くなるという論理である。しかし大学はテクノロジーのかわりに非常勤講師の安い労働力で教育の生産性を保ちつつ,人件費総額が増えないようにしているのである。
増えたのは教育に直接関係しない大学職員にかかる費用である。まず言えるのは,大学の運営に関わる管理職の増加が著しい。ここ35年間での管理職数の増加率は教員数の増加率の10倍にもなる。学長,プロボスト,学部長,学科長などは昔からある役職だが,近年,職務が細分化したことが原因である。
アキ・ロバーツ 竹内 洋 (2017). アメリカ大学の裏側:「世界最高水準」は危機にあるのか? 朝日新聞出版 pp.111