読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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いまでも,経済学の世界で「調査から得た証拠」という言葉が登場するときには,必ずと言ってよいほど「単なる(mere)」という枕詞がつく。「mere」は「sneer(嘲笑)」と韻を踏んでいるのだ。こんなあしざまな言いようは,まったく非科学的だ。投票行動調査データは,有権者に投票に行くかどうか,誰に投票するか質問し,その結果を集計したものにすぎない。それをネイト・シルバーのようなデータ分析の達人が最新の注意を払って使うと,びっくりするくらい正確な選挙予測がはじき出される。何よりおもしろいのは,経済学者はアンケート調査に否定的なのに,重要なマクロ経済変数は,個人に対するアンケート調査から算出されているものが多いのだ。
リチャード・セイラー 遠藤真美(訳) (2016). 行動経済学の逆襲 早川書房 pp.79-80