読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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これが練習の効果を最大限に高めるコツだ。ボディビルや長距離走など,トレーニングの大部分が単純に何かを繰り返す作業のように思えるスポーツでも,一つひとつの動きを正しくやることに意識を集中すると上達が加速する。長距離走選手の研究では,アマチュア選手は走ることの辛さや疲労感から逃れるために楽しいことを考えたり空想にふけったりする傾向があるのに対し,トップクラスの長距離選手は自らの身体に意識を集中させ,最適なペースをつかみ,レースの間それを維持するのに必要な調整をしていく。ボディビルあるいは重量挙げで,今の能力では限界というウエイトを挙げるときには入念に準備をして,完全に集中しなければならない。どんな活動でも能力の限界に挑戦するときには,100%の集中力と努力が必要だ。そしてもちろん,筋力や持久力がそれほど必要とされない知的活動や楽器演奏,芸術活動などは,そもそも集中せずに練習してもまったく意味がない。
アンダース・エリクソン ロバート・プール 土方奈美(訳) (2016). 超一流になるのは才能か努力か? 文藝春秋 pp.207-208