読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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科学における仮説とは,一群のデータを説明し,実験結果についての予測に用いられる,相互に関係したひとまとまりの概念のことです。仮説とは,(より一般的で包括的な)理論から導かれた具体的な予測のことです。現在まで生き残っている理論の中には,確かめられた多くの仮説が内包されています。したがって,生き残っている理論の理論構造は,膨大な数に上る観察結果と整合するものなのです。ところが,理論から導かれた仮説が多くのデータと矛盾するようになると,科学者は,そのデータについてのより良い解釈をもたらしてくれるであろう新しい理論を構築しようとします(あるいは,もっと頻繁に行なわれることは,元の理論を修正することです)。このように,科学的な議論の対象となる理論は,ある程度はすでに修正されてきたものであるため,手元にあるデータと相容れない予測をもたらすことはほとんどないのです。こうした理由から,そのような理論は,単なる推測や勘,直感ではないのです。
キース・E・スタノヴィッチ 金坂弥起(監訳) (2016). 心理学をまじめに考える方法:真実を見抜く批判的思考 誠信書房 pp.28-29