読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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もちろん,科学の知が仮のもので,理論から導かれる仮説が誤りである可能性をはらんでいるとしても,すべての事象が研究対象になるとは限りません。何度も確かめられ,実験によって将来覆される可能性が極めて低いことから法則と呼ばれるようになった関連性も,科学には多く存在します。ある日,血液が静脈や動脈を循環しなくなるとか,地球が太陽を周回しなくなることなどを私たちが発見する可能性は極めて低いのです。こうしたありふれた事実は,これまで述べてきたタイプの仮説ではありません。そんなことに科学者は興味を示しません。なぜなら,それらの法則は十分に立証されているからです。科学者が興味を持つのは,すでに分かっていることの周辺にある,本質的な事態のさまざまな側面だけです。疑いようもないほど十分に確かめられたことには,興味がないのです。
キース・E・スタノヴィッチ 金坂弥起(監訳) (2016). 心理学をまじめに考える方法:真実を見抜く批判的思考 誠信書房 pp.44