読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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科学の概念は操作の組み合わせによって定義されるものであり,たった一つの行動事象や課題によるものではないと気づくことは重要です。それぞれわずかに違いのある課題や行動事象は,一つの概念として収束するものなのです。たとえば,教育心理学者は読解能力といった概念を,まとまった課題の組み合わせからなるウッドコック読解習熟度テスト(Woodcock, 2011)といった,標準化されたツールの得点という観点から定義します。ウッドコック読解習熟度というツールにおける総合読解能力得点は,わずかに異なる能力を測る多数のサブテスト,たとえば1節を読んで空欄を埋める適切な単語を考える,ある単語の類義語を考え出す,難解な単語を一つひとつ区切って正確に発音する,といった能力の指標を含んでいます。これらすべての課題の成績を集めて,読解能力という概念を定義しているのです。
キース・E・スタノヴィッチ 金坂弥起(監訳) (2016). 心理学をまじめに考える方法:真実を見抜く批判的思考 誠信書房 pp.51-52