読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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私が講義でこの話をすると,だいたいいつも誰かが的を射た質問をします。「先生は目を引く事例を使って要点を説明しているだけです。先生がすべきではないと言った方法じゃないですか」。この良い質問のお陰で,私は本章のテーマについて,さらに細かな点を伝えることができます。質問への回答はこうです。「たしかに,私は目を引く事例を使って要点を説明してきました。それは要点を説明するためで,証明するためではありません」。この二つを区別することが重要なのです。つまり,(1)主張することと,(2)それを伝えることの違いです。それぞれについて,支持証言に基づいているか否かを問うことができます。すると可能性として,以下の四つの立場を導くことができます。
(1)強烈な支持証言に基づく主張が強烈な支持証言によって伝えられるもの。
(2)強烈な支持証言に基づく主張が支持証言抜きに伝えられるもの。
(3)支持証言ではない他のエビデンスに基づく主張が,強烈な支持証言によって伝えられるもの。
(4)支持証言ではない他のエビデンスに基づく主張が,支持証言抜きに伝えられるもの。
キース・E・スタノヴィッチ 金坂弥起(監訳) (2016). 心理学をまじめに考える方法:真実を見抜く批判的思考 誠信書房 pp.90