読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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ほとんどのシナリオで,死の危機にさらされている五人には何の罪もない。そんな危険な状況に置かれる謂れはないのだ。五人を救うために殺されるかもしれない一人にも,いっさい悪いところはない。これらの一人と五人のあいだには何のつながりもないのがふつうだ。友人でもなければ同じ家族の一員でもない。唯一の共通点は,同じ悲惨な状況にたまたま巻き込まれたことだけである。
やがて,われわれは「太った男」と出会うことになる。彼の扱い方をめぐる中心的な難題は,一世紀近くものあいだ哲学者を悩ませてきた。いまではそのトピックに関する論文が非常に多く存在するため,「路面電車学(トリオロジー)」なる冗談めかした新語が定着している。
デイヴィッド・エモンズ 鬼澤忍(訳) (2015). 太った男を殺しますか?「トロリー問題」が教えてくれること 太田出版 pp.22